産後の骨盤矯正

今回は『産後の骨盤矯正について』ですが、まずはじめに注意事項を2点ほどお伝えさせていただきます。

1点目は、当院は慢性の痛み、不調専門なので『産後の骨盤を引き締めて美しくなろう』というようなダイエット・美容目的の方は、お断りさせていただいております。あらかじめご了承ください。

肩こり、腰痛などお身体の不調や精神的な疲労、健康管理やメンテナンスとして施術を受けてみたいという方のみ、お気軽にご相談ください。

2点目は、当院には託児スタッフやベビーベッドはございません。

そのため、基本的にお子様を預けてご来院いただくようお願いしております。

お子様を預けらず、ご一緒の場合は、お手数ですがベビーカー等をお持ちいただき、そのまま中までお入りいただくという形になります。

大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

産後に骨盤のケアをすることで、様々なメリットが得られます。

例えば、産後は腰痛や骨盤のぐらつき等が起きやすいので、そういった症状を早く改善できたり、その他の不調も含めて予防できたりします。

骨盤は背骨にとって『土台の部分』なので、からだ全体のバランスを整える上でも重要な場所だからです。

また、首や肩など骨盤から離れたところに症状がある方の場合でも、骨盤の矯正は大切です。

実は骨盤の周りには、神経というものが密に分布しています。

なので、骨盤を矯正することで、からだ全体の神経の流れがスムーズになり、その結果、首や肩など離れたところにある筋肉や関節の状態まで良い方向に向かいます。

特に、骨盤の真ん中にある仙骨（せんこつ）という場所は、自律神経（じりつしんけい）というものと深い関わりがあります。

自律神経とは、頑張ったり休んだり、オンとオフのバランスのことですが、特に産後のママさんは、寝不足による疲労感、しんどさ等、自律神経が乱れてしまっている方がほとんどです。

骨盤のケアは、からだの痛みだけでなく、自律神経のバランスまで整えることができます。

来院された際は、ゆっくり休んでいってくださいね。

ここからは当院の施術方針についてお伝えします。

当院の施術はからだ全体です。

なので、たとえ骨盤周りに症状があったとしても、骨盤だけを長時間施術するわけではありません。

もちろん骨盤の矯正も行いますが、あくまでもからだ全体の一部という視点で施術しております。

なぜかというと、その方が早く改善しますし、産後の骨盤はあまり刺激し過ぎない方がいいからです。

矯正は、硬いところを柔らかくするために行います。

動きがなく、固まってしまっている関節に『動いて下さいね』と刺激を入れるわけです。

しかし産後の骨盤は、女性ホルモン等の影響で、矯正する前から（そもそも）柔らかくなっている場合が多いです。

施術や矯正を長時間あるいは強い力で行っていると、骨盤が必要以上にほぐれてさらに柔らかくなってしまい、より不安定な状態になります。

なので、たとえ骨盤のぐらつきや腰痛など、骨盤周りに症状があったとしても、骨盤を一生懸命ガシガシ施術すればいいというわけではありません。

むしろ、産後の骨盤は基本的にソフトな矯正で大丈夫です。

当院では、多くの方は骨盤にソフトな圧を持続的にかけていく矯正法なので、変に力んだりせず、リラックスして施術が受けられます。

産後のママさんをはじめ、女性のお客様とお話していると『骨盤の開き、ズレやゆがみ』を気にされている方がとても多いのですが…

骨盤は開いたり、大きくズレたりゆがんだりしません。

たまに、わかりやすくお伝えするためにゆがみと言ったりすることもありますが…(笑)

プロがみているのは、ほんのわずかなズレ、ゆがみです。（これは一般の方がイメージする大幅なズレやゆがみとはおそらく違います）

産後の骨盤矯正はビジネスの側面が強いので、他院で『骨盤がものすごくゆがんでいますよ』と言われることもあるようですが、それらはだいたい（回数券を売るための）セールストークなので、気にしなくて大丈夫です。

逆に『整形外科に行ってレントゲンを撮ったら、左右の骨盤が揃っていて、ものすごくキレイですねぇ～と褒められました』というお客様もいらっしゃいました。

でも、その方はひどい腰痛なんですね…(笑)

こういった事実をお伝えすると、ビックリする方がほとんどです。

一般の方のイメージとして、左右が揃っているキレイな骨盤であれば、不調は起こらないものと思いますよね？？

でも実際は違います。キレイに揃っていれば、それでOKというものでもありません。

まとめると、骨盤は大きくズレたりゆがんだりしないので『私は骨盤がズレているから不調なんだ…』とお客様ご自身でイメージを作り上げてしまうと、改善するはずの症状も改善しなくなってしまいますから、ズレやゆがみを気にしないことも、根本改善への大きな1歩です。

その他に、お客様それぞれにもともとの骨格がありますので、左右の骨盤をキレイに揃える必要はありません。

次の項目で詳しく解説しますが、多少のゆがみ（自然なゆがみ）はむしろあった方がいいです。そしてそのちょっとしたゆがみの中で、微調整するのがプロというわけです。

大きくゆがんだ骨盤を動かして何ミリ押し込んでもらった、みたいなイメージは捨ててしまいましょう。

骨盤の左右のゆがみについて言えば、左の骨盤が後ろにズレて、右の骨盤が前にズレている人が多いです。（※繰り返しになりますが、ほんのわずかにズレている、ゆがんでいるだけですよ）

これはからだの軸が左にある人が多いためです。

例えば、陸上トラックのカーブを走る時は、左足を軸にして、右足を前に出しながら走っていきますよね？？

なので、右の骨盤が前に来て、左の骨盤は相対的に後ろに来ます。

このように、人間の生活は左足を軸にして、（右利きの人が多いので）右手右足を前に出すパターンの動きが多いです。

（軸がど真ん中ではなく、左にあるから悪いということではなく、そもそも左にある人が多いので、陸上トラックもそういう設計になっています）

そういったところまで含めて考えると、なんでもズレなくキレイまっすぐが良いとは限らないですよね？？

レントゲンで撮る骨盤のように、人間は止まったまま生活する生き物ではありません。

日々動いて生活していますから、よりスムーズに動くためには、多少ゆがんでいた方が、かえって身体に負担がかかりません。

軸足、利き手、利き目など、そういった左右差による『自然な身体のゆがみ』は、悪いものではないということです。

骨盤に症状や違和感がある方は、骨盤自体が悪いのではなく、周辺の背骨やお腹、股関節の影響を受けている場合がほとんどです。首が硬い人も多いですね。

なので、そういった骨盤以外の根本原因を改善すると、骨盤にかかる負担が減り、症状が落ち着いていきます。

『産後の骨盤矯正』というフレーズが一般的になりつつあるので、今回は骨盤についての誤解など、骨盤に焦点を当ててお伝えしました。

1つ前の項目で、骨盤以外のところが骨盤に負担をかけているんですよと書きましたが、特にお腹が大切です。

施術でしかできないことも多々ありますが、当院では日常生活のアドバイスにも力を入れています。

お腹なので、食事のアドバイスをしたり、その他に、腹式呼吸もお勧めしております。

おへその辺りを意識して、ゆっくりと息を吸いながらお腹を膨らませていき、今度はゆっくりと息を吐きながらお腹を凹ませていきます。

特にゆっくりと息を吐くことが大切なので、息を吸う倍ぐらいの時間をかけて息を吐くと良いでしょう。（4秒で吸ったら8秒かけて息を吐きましょう）

腹式呼吸は最初にお伝えした自律神経とも関係しています。

リラックス効果があるので、例えば毎日寝る前に10回というような感じで、コツコツ続けていけるとベストです。

腹式呼吸を続けていくと、みぞおち部分にある横隔膜（おうかくまく）という筋肉が柔らかくなります。

横隔膜が柔らかくなると、呼吸が深くなっていくので、からだ全体の緊張が抜けてリラックスできます。その他に、血液の循環まで良くなりますよ。