ボキボキ動画について

今回はボキボキ動画についてです。

ボキボキ動画とは、カイロプラクティックや整体の施術の中で、瞬間的な矯正をする際に鳴る『ボキっ』や『バキっ』などの矯正音を集めた動画のことです。

YouTubeなどでボキボキ整体と検索すれば、すぐにそういった動画を見つけることができます。（※当院ではそのような動画は一切アップしておりませんので、ご安心ください）

こういった動画は一般の方にはウケが良いので、再生回数を稼ぐそうですが、カイロプラクティック、整体業界にとっても、お客様側にとっても、本当に良くないなあというのが私の意見です。

瞬間的な矯正の際に鳴る『ボキっ』という音の正体をご存じですか？？

骨が鳴っていると思う方が多いかもしれませんが、そうではありません。

骨と骨との接合部、つなぎ目の部分を関節といいますが、その関節部分は袋で覆われています。そしてその袋の中には、関節が滑らかに動くように潤滑油が入っています。

難しいと感じる方は、なんとなくで大丈夫ですよ。

『ボキっ』という音がどこから発生しているかというと…

瞬間的に関節に力をかけると、関節内部の圧力が変化し、潤滑油の中にガスが発生し、そしてそれが弾ける音が『ボキっ』です。

ですので端的に一言でいえば、関節内のガスが弾ける音ということになりますね。

炭酸のペットボトルをあける時に『プシュっ』と音がしますが、あれと同じ原理です。

ここからは、ボキボキ動画がお客様にとって良くない理由をお伝えします。

その理由は『音が鳴らないと効果がない』と思い込んでしまう人が出てくるからです。

ボキボキ動画が好きな人は、矯正音が鳴らないと満足できないという人が多いと思います。

関節を調整して欲しいというよりも、とにかく音を鳴らして欲しいというような感じです。

確かに音が鳴った方がやられた感がありますが、音が鳴ったかどうかは、実際の効果とは関係ありません。

（※当院でも瞬間的な矯正を行うことがありますが、私自身は音を鳴らそうと矯正したことは一度もありません）

先ほどお伝えしたように、ボキっという音は単にガスが弾けた音であり、必ずしも問題の関節が矯正されたという証拠にはならないからです。（音が鳴らなくても、関節がちゃんと矯正されていればそれでOKです）

次はカイロプラクティックや整体など業界（ボキボキ動画を投稿している側）に対してです。

まず、動画を見ていて気になったのは『良い音だった』『良い音が鳴ったから、治ったよ』というようなことを、施術家側が言っていることです。

このように施術家の中には、音を鳴らすことに執念を燃やしている方や、音が鳴ったから治ったと本気で思い込んでいる方がいらっしゃいます。

矯正音に関して言えば、どうしても鳴りやすいタイプの人、鳴りにくいタイプの人がいらっしゃいますので、ムキになって鳴りにくいタイプの人を鳴らそうとすれば、それはやはり乱暴な矯正と言わざるを得ません。

当院にお越しになるお客様の中には、他院で乱暴な矯正を受けて『痛みがかえって悪化した』『音が鳴っただけで症状は改善しなかった』というような方もいらっしゃいます。

単なるパフォーマンスではなく、矯正の目的が大切だと思います。

実は施術では、矯正よりも大切なものがあります。

それはなにかというと検査です。

検査をしないと、矯正すべきポイントがわからないからです。

例えば検査をして『この背骨の右側の関節が硬いから、ここを矯正しよう』『骨盤がこうなっていたから、あえて矯正しませんでした』というような感じです。

検査の方法は様々なので、背骨を触ったり、筋力を参考にしたり、皮膚の温度差を確認したりと、本当にいろんなやり方があります。

こういった過程は地味ですが、実はここが1番大切です。

中には瞬間的な矯正をしてはいけないorしない方がいいタイプの方もいらっしゃるので、そういった方には特に注意を払わなければなりません。

お客様からすると『（矯正など）どんなことをされたか』が重要かもしれませんが、その前の準備である検査の方が、施術家にとっては重要だったりしますよ。

最後に、当院での矯正についてお伝えします。

今回は瞬間的な矯正に焦点を当ててお伝えしましたが、背骨や骨盤の矯正には様々なやり方があり、ソフトな矯正もあります。

当院では、年齢や矯正する場所により矯正方法を変えております。その理由も合わせて下記をご参照ください。

当院で瞬間的な矯正をするところは、首と腰に挟まれた背中の胸椎（きょうつい）という背骨を、50歳ぐらいまでの比較的若い方に行うことが多いです。

なぜ背中の胸椎かというと、ここは首や腰に比べて特に動きが硬いからです。なので『動いて下さいね』と瞬間的に刺激をいれるわけです。

お客様の症状として多いのは首（肩）や腰ですが、そのあいだの胸椎が悪さをしている場合が少なくありません。地味な場所ですが、こういったところが実際には根本原因の1つです。

年齢については、50歳ぐらいをボーダーにしております。

加齢と共に、瞬間的な矯正のリスクが高まってくるお客様もいらっしゃいますし、背骨だけでなく、周りの筋肉や靭帯（じんたい）というものまで、徐々に状態が変わってくるからです。

なので瞬間的な矯正ではなく、周りにも寄り添ったソフトな矯正を行っております。

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その他、胸椎以外だと肩や足首、腰、骨盤も瞬間的に矯正することがありますが、人によりますね。

首は、若い方でもほとんどのお客様はソフトに矯正しています。先ほどもお伝えしましたが、症状として多いのは確かに首（肩）や腰ですが…

首や腰は、骨よりも筋肉が緊張している方がとても多いです。

骨である背骨や骨盤自体がゆがんでいるのではなく、筋肉が硬くなったり、こったりして骨を引っ張ることで、2次的に骨がゆがんでしまうということです。

なので（あくまでも私の考えですが）、首や腰は骨よりも筋肉を重視して施術しております。